レモショルートDay7
バラフ・キャンプ(4,673m)〜 ウフル・ピーク(5,895m)〜 バラフ・キャンプ 〜 ムゥエカ・キャンプ(3,100m)
夜中に起きて準備!
23時過ぎにはもう目覚めていた。というか、うつらうつらするも眠れないので、23時には起きたわけだ。自分でもなぜだか分からないが、テントの中の様子を写真に撮る。

朝食(?)として、事前にお願いした通りお粥を出してくれた。ここで再び満を持して登場するのが、日本から持ってきた豆腐の味噌汁である。お粥と味噌汁を食しておけば無敵だ!

この後のサミットプッシュの様子は、実は写真がない。寒さの中、オーバーグローブをつけて登って行ったのと、途中から疲労感もあり、スマホやカメラを取り出す余裕がなかったためだ。文字だけでご勘弁いただきたい。
とても辛かったステラポイントまでの暗闇の中での登り
ガイドのゴッドウィル、自分、サポートのエマニュエルの順番で歩き出す。
自分の荷物はエマニュエルが持ってくれた。そこまでしてくれなくとも、とも思ったが、ここは成功率を上げる方をとる事にして、ありがたく申し出を受け入れる事にした。
真っ暗な中、ヘッドランプを頼りに進んでいく。少しガスがかかっていたが、星はところどころ見えているので、天気はいいようだ。
他のパーティも順次登山開始していて、早いところは23時には出発していた。前の方にヘッドランプの灯りがちらほらチラついてる。自分たちよりも遅く出たパーティも結構あったので、我々は真ん中くらいか。
途中、茂みで用を足していると、日中出会ったOさんが追いついてきた。「体調大丈夫ですか?」と声をかけてくれて、「今のところ大丈夫」と私。「頂上までがんばりましょう!」とOさんは元気そうにそのまま追い越して行った。それぞれのペースで進めば良いので、気にしない気にしない。
ベースキャンプからの登りのイメージは、富士山5合目から山頂までを真夜中に弾丸ツアーするのに似ている。標高差も1,200〜1,300mくらいで距離感は同じだ。そう思うと、日本でやってきた経験がそのまま生きてくるはずだ。
違いは、絶対的な標高だ。ベースキャンプの4,673mから、ウフルピークの5,895mまで行くのだ。必然的に酸素も少なくなる。その違いも大きい。山頂に至っては、地上の半分以下しか酸素がない。ポレポレペースではあっても、その違いが徐々に響いてきた。
思い出せる範囲で書き連ねてみる。
- 登り初めから苦しさなどはないので、普通の呼吸で登っていると、何か少し変だぞと、頭の重さやくらくら感が出てくる。そこで意識呼吸に変える。大きく吐いて吸うを10回くらいやって、マラソンするような呼吸を続けると違和感がなくなった
- マラソンで4時間も5時間も走っているのだから、登山としてこのくらいの時間を歩くことができないわはない。しかし、後半、完全にやられてしまった
- まずは眠気だ。不完全な仮眠を3時間くらいしか取ってないので、当然といえば当然なのだが、日本で登山をする時でも、そういう短時間睡眠での登山は何度もやっている。でもいずれも眠気は来なかった。やはり標高が高くて酸素が少ない、というのは要因としてありそうだ。ゴッドウィルは"Don't sleep."と声をかけてくれる
- そんな中でも、意思の力で登ってやる、という思いだけは貫いた。とにかく足を動かすのだ。遅くても、リズムだけは崩さずに続けるのだ
- そうすると、自然と呼吸が深い上にリズミカルになるので、酸素供給としても十分な量になっていたようだ。結果的に、山頂まで含めて高山病の症状で悩まされることはなかった。低酸素トレーニングルームで身体が慣れていたのも大きいように思った
という感じで、高山病は大丈夫だったのだが、歩けども歩けども、山頂の淵にあたる、ステラポイントが見えてこないのも精神的に辛い。
ゴッドウィルからは、上は見ずに足元だけ見て歩くようにと言われていたが、やっぱり目標物は気になる。進んでも進んでも、先を行くヘッドランプが途切れない。途中で止まっている人も何人もいたように思う。
一体この登りはいつまで続くのだ・・・。
ゴッドウィルには、”I'm tired." と思わず言ってしまった。空荷なのに身体も少しふらついていて、よろける度に後ろで、エマニュエルが支えてくれている。
ちょっと待ってくれ。登山でこんなに疲労したことはかつてあっただろうか。
これは人生で最もつらい登りではないか・・・。
それはどうでもいい、とにかくロボットのように足を動かすのだ・・・。
とにかく前に前に・・・。
ふと、ヘッドランプ行列が見えなくなるところにやってきた。
あれ、ここはもしかして・・・。
ステラポイント到着、だが元気がない
ふらふらになりながら、5:30頃にステラポイント(5,756m)にたどり着いた。
あたりはまだ真っ暗で、山頂の縁にたどり着いた実感がない。ステラポイントは思ったよりも簡素ところだった。疲れていたので、しばらく休みたかったが、ジンジャーティーを飲んだところで、ゴッドウィルが「あそこがウフルピークだ。行きたいよね?」と聞いてきた。「もちろん」と応えると、ここで長く休むのは良くないと、すぐに歩き始めた。
さすがに疲労できつかったが、ここまで来たからには、あとはウフルピークだけなのだ。これだけなら大した行程ではないが、ここに至るまでに散々体力を吸い取られた身にはつらい。ただただ、精神力だけで歩いていた気がする。
だんだんと明るくなってきて景色はわかるようになった。すごい所を歩いているのはわかる。
途中ですれ違う人が、"Congrats!!" といっているは分かっているのだが、それに応える気力がない。でも歩く。
ゴッドウィルに、山頂の標識はどこか?と聞くと、"Trust me."とだけ帰ってきた。
アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロ・ウフルピーク登頂!!!
6:20頃山頂到達。ゴッドウィルとエマニュエルが、祝福のハグをしてきた。
「ついにここに来たのだ!」という思いよりも、「もうこれ以上高いところまで歩かなくていいのだ」という、安堵の思いのほうが強かった気がする。山でこんな思いをしたのは初めだ。
絶妙に日の出のタイミングに間に合い、写真待ちの間にウフルピークからの写真も撮っておく。エマニュエルに写真を撮ってと渡したカメラでも素晴らしい景色が写っていた。

とはいえ、ここはアフリカ大陸最高峰。夢にまで見たウフルピークだ。
だんだんと喜びの気持ちが湧いてきた。山頂の標識の前では、満面の笑顔になっている自分がいた。




日本人のOさんにも再会し、握手を交わして、ジャパンチームとして2人の写真を撮る。ここにアップするのは控えるが、私にとっては思い出の一枚になっている。
山頂での感動を動画に残しておきたくて、自分で解説を入れようとすると、急にグッと込み上げてくるものがあった。危ない、危ない。ここにアップしたのはテイク2のもの。ゴッドウィルはこんなところでも「そんなの関係ねぇ」を繰り出していた。
ここからは山頂からの写真をギャラリーで。
氷河も映っているが、よく言われているように、随分と小さくなってしまっている。







下山の時はすっかり明るくなったステラポイント。写真には映っていないがこの右奥がウフルピーク。

ウフルピークはここから40分ほど登ったところだが、ここまで登れば登頂したことが認められる
ウフルピークからベースキャンプへ下山
ステラポイントからは、下山道を下っていくようになっていた。
富士山の砂走りと同じような感じだ。砂地を走るように降りて、8時頃にバラフ・キャンプに到着。登りであれだけ時間がかかったのが、下りは1時間半くらいで下山。これも富士山に似ているといえば似ている。

バラフ・キャンプでは、冷たいマンゴージュースを出してくれて、登山クルーたちが、皆で祝福の歌を歌ってくれた。山頂でも涙が出なかったのに、この時ばかりは、「ありがとう!30年越しの夢が叶ったよ!」とお礼を言うと、急に涙が込み上げてきた。
そうなのだ。本当に、いつか登りたいとおもった山、キリマンジャロに登ったのだ。
彼らにも伝えたが、正真正銘 "Unforgetablle"。一生モノの思い出になったのだ。
ムウェカ・キャンプへの移動
バラフキャンプで1時間半の休憩。少し眠ったが、ここからまた歩かねばならない。
これもまた気持ちを切り替えるとともに、疲労感と寝不足がある中で、再び3〜4時間歩かねばならないということで、今日の第二の核心でもある。
最後に、バラフ・キャンプのゲートで写真を撮って、キリマンジャロを後にする。

ムウェカキャンプまでは長い道のりだった。バラフキャンプの4,600mから3,100mくらいまで字標高を下げるのだ。

途中でミレニアム・キャンプ(ハイ・キャンプ)を通過。ここで一泊するツアーもある。

標高を下げるにつれて、植生も豊かになってきた。ずっと岩場の高所にいたので、懐かしい感じがする。

最後のキャンプ地ムゥエカ・キャンプ
ムウェカゲートで記帳しようとすると、台帳を使い切ってしまって、入山証明だけでよいと。ゴッドウィルに頼まれて、ザックから取り出す。ゴッドウィルによると、我々が2番乗りだったそうである。キリマンジャロアタックをして、バラフキャンプに戻って、そんなにすぐには下山できないよ、というのが人情というものだろう。本当に今日はよく歩いた。

時間があったので、テントサイトを動画に録っておく。このキャンプは下山道の両脇に作られていて、縦長になっている。まだ登山クルーしかいないところが殆どだが、皆最終キャンプとあって、どこか気持ちが軽くなっているように感じた。
テント周辺では、クルーたちがまだ仕事が始まる前で、各自リラックスしていた。そこに日本から持って来たキャンディーをあげてみる。喜ばれたようだ。
ゴッドウィルのリクエストで「ゾウさんの歌」を録画。3人の子供に聞かせるという。あんなのでよかったのかな(笑)
ジョルダンにフリスビーが欲しかったらあげるよというと喜んでいた。
今日はもう血中酸素濃度や水の摂取量を気にしなくていいと思うと嬉しい。夜中に変なうなされ方もしないだろう。因みに、意識呼吸なしで測定してみたら91%だった。

夕食を腹一杯食べて、今日はぐっすり眠りにつく。
明日はいよいよ下山、最終日か。早いものだ。
[レモショルートDay8に続く]
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